スウィートシング
この映画に出てくる大人たちは、概ねダメな大人たちだ。
子供達より男を選んだ母親。
普段は優しいが酔うと豹変するアルコール中毒の父親。
母親の彼氏も暴力的で最低な男だし、
唯一優しくてまともな大人は、
主人公ビリーの妄想の中の、ビリーホリディだけだった。
ビリーホリディはビリーの父親が好きだった歌手の名前。
ビリーの名前は、ビリーホリディからつけたものだった。
普段はモノクロの世界で生きているビリーと弟のニコだったが(文字通りモノクロの映画だ)ビリーとビリーホリディの世界(妄想)は色鮮やかな世界だった。
ビリーとニコは、ちゃんと大人を信用している。・・・今はまだ。
両親の愛情を欲しているし、アル中の父親が、リハビリ施設から戻ってきてくれることを心から望んでいる。
二人の子を持つ親として、心から願う。
私は子供たちの期待を裏切らない大人でありたいと。
元子供だった私も願う。お父さんとお母さんが二人の元に帰りますようにと。